2018.05.16

食の営み

 朝食に目玉焼きをやいて、昼ににんじん蒸しパンをふかし、おやつにポップコーンをつくって、夕食に牡蠣フライを揚げる。ぼんやりと料理をしながら一日が過ぎる。仕事でも生活でも、食に携わっている時間は、ふくよかでうれしい。

 気がつけば日がな一日、食の営みを送っていることが多い。食事のすぐあとも、子どもと遊んでいるときも、夜寝るまえも、翌日の献立を考えていたりする。うれしいことがあった日は、意気揚々となじみの店へでかける。しんどい思いをした日は、一心不乱に大量のいなりずしをつくる。食を振りまわしているのか、食に振りまわされているのか。どちらにしても悪い気はしないので、とめどもない食の流れに身をゆだねている。

 夕食を終え、こんどは粘土で餃子とチーズケーキをつくる。何度も色をまざあわせた粘土は、つやのない鈍色で、ふっくらとした餃子がまったく美味しそうに見えない。チーズケーキも扇状のただの物体で、食欲はそそられない。まずいまずいと食べるまねをしながら、明日の朝食のことを考える。

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